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ちょっと放置が過ぎるかな…と思う今日この頃。

GWは専らお絵かきに明け暮れてました。

いや、あれなんですよ。
CARAN D'ACHEの水彩色鉛筆40色(SUPRACOLOR)を、
ついに買ってしまったんですよ。

何となく解説すると、所謂色鉛筆の芯は油性なのですが、
水性の素材を芯として使用するのが水彩色鉛筆で、
塗った後を水でなぞると、芯が溶けて水彩画っぽく色が置けるんですね。

塗った後に溶いたり、溶かなかったり、紙を軽く塗らして描いたり etc...
手法もいろいろあって、いろんな効果が出せる、
しかも割と手軽な素敵画材なんです。

アナログ彩色は、偶発性のある要素が多いのと、基本リセット不可なので、
楽し怖いです。
白色鉛筆のありがたみは、ミスってから分かると思います。

そんな素敵アイテムをゲットしたのが休み前で、
ようやく休みに入って、手をつけ始めたら、止まらなくなりましたw


で、あまりにも文章公開しなさすぎなので、
禁断の未完文章の放置を実施してみます。

1ヶ月前くらいに書いたものです。

はっきり言って、目の前に浮かんだ情景を衝動的に書いたもので、
完結どころか、物語になりそうな予兆がかすかに見えるだけ。
しかも、季節はずれもいいところのネタになってしまいました。

READ MORE クリックで展開します。
ブログスペースに、SS体裁の文章乗っけるのは初めてなので、
そのテストだと思ってください。

絵の場合、下書きを晒したところで、どうということはないんですが、
文章の場合は、そうはいかないあたりが因果だなぁと思います。



    春は夜


 常闇に浮かび上がるような白――それはよく見ると、うっすらとした紅。

 月の光を受けて闇に浮かぶ光景はこの世のものとは思えぬ情景。

 そこは確かに、この世ではない。

 

 広大というのも馬鹿らしくなるような無限にも思える広さ。むしろ茫洋という表現がしっくり来るこの庭そのものがこの場所――冥界をよく表していた。その庭に面した縁側に腰かけるのは、二人の少女。

 視線の先には、常闇。そしてそこに浮かび上がる、白に限りなく近い薄紅。照らすのは冴え冴えと輝く月のみ。

 不意に少女のうちの片方、輝かんばかりの金髪を風に揺らせた少女が、大きく開いた胸元に手を忍ばせる。ややあって、そこから抜き取られた手には一升瓶が握られている。

 「出たわ。今日のための取っておき」

 「あら、勿体無いわね。取っておきなら、まだ出すのは早いんじゃないかしら?」

 印象に残る顔立ちの割にどこか薄い印象を覚える、不思議な少女が微笑みつつ小首を傾げる。真面目なような、からかうような、何ともつかみどころのない微笑みだった。そんな微笑みを向けられた金髪の少女は、慣れているのか何事もなかったかのように続ける。

 「いいのよ。隆盛と衰退の境界は、まさに今夜だわ。さらには満月のおまけ付き」

 「あら」

 その返答に満足なのか不満なのか、少女は微笑みを崩すことなく空の月を見上げる。

 「それなら、やっぱり早すぎね」

 頬をなで、髪を揺らすそよ風に耳を澄ますように、しばし目を閉じる。

 やんわりと一升瓶を奪い取ると、傍らに置いた白磁に、そっと中身を注ぐ。

 己の結論を否定された金髪の少女はというと、理由にも大して興味がない、と言いた気な疑問の瞳を向ける。その代わりとばかりに、このやりとりを楽しむような笑みが口元を彩る。ついでとばかりに、手元の白磁を少女に向かって差し出した。

 「私は、咲く花よりも、散る花の方が好きだもの」

 「あなたらしいわね、幽々子」

 ざわり、と桜が鳴いた。

 

 

 「今日は、式神たちはいないのね」

 掛けられた声は、そこに坐る二人以外のものだった。

 「たまには、式神同士、水入らずにしてあげても罰は当たらないわ」

 「あら、紫があの二匹といることの方が少ないじゃない」

 何の気なし、といった風で言う紫に、幽々子はすかさず茶々を入れる。とはいえ、年中眠りについている八雲紫の代わりにせっせと働くのが、彼女の式神たる藍であるから、幽々子の発言はあながち間違いでもなく、概ね正確なのだろう。とはいえ、一度紫が起き上がれば、藍は付き従うことも多い。

 その藍の式神たる橙はといえば、どこかで遊びまわっていることの方が圧倒的に多い。外見だけを見るなら歳相応のふるまいにも見えるが、それが生ける理論たる式神の行動と考えると思わず首を傾げたくなる。

 「あなたこそ、主人抜きなんて珍しいじゃない」

 紫は、そこで初めて声のした方――背後を振り返る。

 そこにはメイド服を着た少女が、手に皿を持って佇んでいた。

 「あなたがいきなりここに放り出したんでしょう」

 ため息とともに皿の上の虚空をはたく。何もないかに見えた虚空から突如生えた手に命中し、皿の中身を掴もうとしていた手は、どこぞへと退散した。

 数歩近づき、そこにしゃがみ込む。おつまみが上がったわ、と幽々子と紫の間に差し出した。

 「すぐに出すなら、別にいいじゃない」

 叩かれた分だけ損だ、と手を軽く降りながら、すねるようにメイド服を睨む。

 「『待て』が出来ないなら、躾は必要でしょ?」

 「まったく、犬に言われるとは思わなかったわ」

 「そこ、鷲掴みにしない。あと、犬って言うな」

 「咲夜の躾は厳しいのね」

 鷲掴みにしていた大食らいの手元すれすれの床、そこに突き立ったナイフに驚き、思わず手を離してしまった。幽々子は改めて、そこにあるポテトフライを一つだけつかみ取る。

 「でも、料理の腕前は流石ね。うちの庭師とは大違いだわ」

 口に放り込むと、思わず顔が綻んでいた。シンプルな料理でも――否、そんな料理の方が却って味付け加減、火の通し加減の差が明確になるのだろう。

 咲夜は何事もなかったかのように、縁側に腰を下しつつ、薄く微笑む。

 「包丁と刀の区別もつかないあの子と比べられてもね」

 その目線は、桜の向こうの満月に注がれていた。

 「それに、あの子は庭師でしょう。…ってそう言えば、断ち枝鋏と刀の区別もついていなかったわね、あの子」

 専門外の技能を求めるのも不憫だと言いかけて、思わず言葉を飲む。あの娘の場合は、そう言う問題でもない、そう思える材料が豊富にある。もし、刀で断ち枝鋏以上に繊細な剪定が出来るというならそれもいいかもしれないが、そこまで行くと扱う剣術自体が意味不明なものになりそうだ。

 そもそも、あの子などと呼称してみたものの、見た目以上に生きてはいるはずなのだが。

 「で、その可愛らしい庭師はどこにいるのかしら」

 永きを生きている本人が聞いたらさぞ傷つくであろう――しかし、どこまでも似つかわしい表現というよりほかないメイド服の言葉に答えたのは、紫の方だった。

 「妖夢なら、幽々子に愛想尽かして出ていったわ」

 「あら、残念だわ~。からかい甲斐のある子だったのにね」

 「…あなた達ねぇ…」

 咲夜は眩暈をこらえるように、こめかみに指を当てた。先程から二人の会話を聞いている分には、この手のやりとりが延々と続くとしか思えない。ひたすらこれでは、実際に妖夢も逃げ出したくなるだろう。

 まぁ、逃げ出していないことは分かりきってはいるのだが。

 「ちょっとしたお使いを頼んでいるの」

 「こんな時間に?」

 今は、真夜中だ。こんな時分に尋ねるところなど――と考えはしたものの、思考を無駄に感じた。それは、尋ねる人間の裁量次第だ。そう考えるとキリがない。ましてやお使いを頼んだのが意味不明な思考の持ち主ともなれば尚更だ。

 そんな咲夜の思考が的確に伝わったらしい。幽々子に柔和な笑みは幽かな苦笑いへと変わっていた。

 「信用ないわね~。こんな時間に訪ねても、別段失礼にはならないところ、だわ」

 「ふぅん」

 この幻想郷は、妖怪が数多く住む世界だ。夜行性のものも多数いるため、そういった者から見れば真夜中に訪ねられてもようとなんら不審ではないかもしれない。

 咲夜には別段関わりのあることとも思えなかったので、それ以上深く考えるのはやめにした。

 この時ばかりは、目の前の風景を楽しむ時間が惜しかった。

 


2009.05.07 


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