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風が、吹いていた。

鈍色の空を映し出す水面は凛と静まり返り、時折悪戯な風がその滑らかな表面をなぞっては、普段は見せないその姿の欠片を描き出す。
周囲には、木々と風が戯れる幽かな音。
ただそれだけが、世界の全てであるような静寂。

そのただ中に、少女が佇んでいた。
その鼓動ですら周囲に響き渡るかのような、しじまの中にいて、水面のごとく透き通った瞳は、ただただ湖面を見据えている。

少女は人の姿をしてはいたが、その内に人に非ざる何かを幻視させる。


不意に、ざわめきが、周囲を包み込む。


何もない空間があるだけの場所で、起こるざわめきは不吉な感触を残す。
騒ぎ立てるは、風。
何かに驚き、その動揺を湖面に無軌道に刻みつけ、徒に木々を掻き鳴らす。
少女が右手を緩やかに、滑らかに持ち上げると、ざわめきが、渦巻き一点に収束。
無数の細かなきらめきに姿を変えて、少女の目前へと集まった。

それを掌で掬い上げると、少女の意識は遥か昔へと飛翔した。
懐かしい日々へと。

今は戻ることはできない。
思い出すことが許されるのみの、儚く脆く薄れゆく、それでも変わることのない
追憶。
それは救いなのか拷問なのか。おそらく両方なのだろう。

束の間、人間的な暖かな光を湛えていた少女の瞳が、再び透徹される。
人が持ち得ない、持ってはならない瞳。

人としての自分を愛してくれた、あの方に会う為に人を捨てている自分に対して、自虐的な微笑を浮かべていることに気がついた。

――大丈夫。自分は、自分だ。

それ以上でも、以下でもない事実。少女にとってはそれが最も大切なことだった。

だから、束の間人としての自分を捨てたとしても、また戻ってくることができる。

ただ無。
表情も彼女の顔から拭い取られ、器となった少女は静かにその力を我が身に降ろす。

手の中に具現した幣を握りしめると、まっすぐに湖面を見据えた。


一閃。


優雅に鋭い逆袈裟の曲線。
手の中のきらめきは風の刃と化し、重ねて解き放たれる。

それは、湖面に直線を描き、水を押しのける。
奇跡の体現。


道に導かれるように、少女はそこに飛び込む。
その身は――ふわり――緩やかに下降し、中ほどで一旦静止すると、
幻想のごとき道を、進んだ。


湖底には、一本の柱が人知れず眠りについている。
そこには、今は肉体を亡くした者が宿っていた。

この目で見たのは、いつ以来だろうか。

再び、あの方が肉体を取り戻し、再会する日は訪れるのだろうか。

淡い期待、失望の日々の終焉を思いながら、少女は湖の奥へと消えていく。


雲の切れ間から、一筋の光が差し込んでいた。

                             ―― Author: Closet ――



文末を示す、おしゃれな表記を模索しています。
Closetです。

落書き…でした。

最初にふと浮かんだのが、2~6行目の風景で、誰もいなかったので適当に人を配置したら、
文章が長々と続きましたとさ。
作品として見られると恥ずかしいので、練習とでも思っていてください。


なんてーか、モデルが誰かは駄々漏れでしょうが、固有名詞は一切出していません。
お好みでキャラを当てはめて見て下さい。

その際は、カテゴリも無視してください。…どうしようか迷ったんです。

統括的なカテゴリの整理も考えています。



ちゃんとした作品にしろボケ、と思った方はご一報を。

保障はしませんが、レスポンスがあると豚が木に登ることもあるかもしれません。

2009.02.14 


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